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2018 年度 実績報告書

音楽科教師の熟達プロセスの検討:経験年数の異なる教師の授業実践の比較を通して

研究課題

研究課題/領域番号 16K21029
研究機関早稲田大学

研究代表者

市川 恵  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 講師(任期付) (70773307)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード音楽科教師 / 授業研究 / 熟達化
研究実績の概要

本研究では,初任教師,中堅教師,熟練教師という経験年数の異なる複数の教師の同一指導案に基づいた授業実践の比較を通して,適応的熟達という観点から音楽科教師の熟達化の諸相を明らかにすると同時に,そのプロセスの解明を進めてきた。平成30年度は,経験年数の異なる5名の教師による授業実践の比較検討する際に,各教師の授業の録音・録画データから教師と子どもの発話を取り出して文字化し「教室談話」という観点から分析を行った。
その結果,経験年数の多い教師は,授業展開の際に感覚的で曖昧な音・音楽というものを子どもと共有するために,自身の身体感覚を顧みつつ,ジェスチャー,姿勢,視線,表情などさまざまな情報を組み合わせ,比喩表現を用いた言葉がけや範唱など教師が持ちうる限りの指導方略を用いていることを確認した。また,若手教師は,授業経験の蓄積によって自らの授業観や教育観を徐々に形成し,自らの被教育経験や固定観念による授業スタイルから脱却して,子どもの音楽への思いや意図を引き出せるような教師と子どもの双方向的なコミュニケーションが充実した授業スタイルを志向していた。それが教室談話の柔軟な運用として授業展開において顕在化し,「助言」を伴う評価言が増えたり,子ども自身に考える機会を与える「発問」が有効に用いられたりと,子どもの発話や表現を価値づけ,学習展開に位置付けていく教授行為が増加していくことが明らかとなった。
適応的な熟達プロセスを検討する際に教室談話がいかに柔軟に運用されているかという視点が鍵となっている。音楽を共有するための言葉として用いられる教室談話を教師―子ども間,子ども―子ども間の相互行為によって作られるマルチモーダルな営みとしてとらえて研究を継続させていくこととした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 人が歌い・奏でることの由来と発達を考える――「絆の音楽性」が示唆する学際的思考枠組み――2018

    • 著者名/発表者名
      今川恭子・福山寛志・源健宏・市川恵・伊原小百合・志村洋子
    • 学会等名
      日本音楽教育学会
  • [図書] 「質的研究における記述」『音楽教育研究ハンドブック』2019

    • 著者名/発表者名
      市川恵
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      音楽之友社

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公開日: 2021-01-27  

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