近年のナノマテリアル製造技術における著しい進展を背景として、ナノマテリアルを応用した新規な材料機能性の創出が望まれる。ナノ粒子分散液を乾燥し溶媒を除去して得られる固相の“ナノ粒子層”は微細配線や光学薄膜などを目的として研究開発が進められてきたが、本研究では化学反応の場を構成する“触媒粒子層”としての利用を探索する。ナノ粒子層の内部構造及び外形の制御により触媒反応の促進が達成できると考え、工学的に有用な広い面積においてナノ粒子層の構造制御が可能な“ナノ粒子マイクロプリンティング法”の実現を目指すこととした。 平成28年度は、ナノ粒子分散液の乾燥による粒子層形成プロセスに関しての基礎検討から着手した。光触媒ナノ粒子の分散液をガラス基板上に塗布・乾燥させることにより触媒粒子層を得られるが、このときシリコーン樹脂(PDMS)を用いて表面形状を制御することを試み、PDMSのマイクロ表面構造が触媒粒子層に転写されることを確認することができた。 平成29年度は、酸化チタンナノ粒子層を対象に、粒子層構造の制御による光触媒反応の高機能化を実験的に検証することとした。その結果、触媒層の構造を制御することより、入射するエネルギーの有効な活用が可能になることが示唆された。 平成30年度(最終年度)は、ナノ粒子マイクロプリンティング法における課題をまとめるとともに、これまでの検討によって得られた内容を総括し、今後の研究の展開について検討を実施した。
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