1) トップダウン的手法とボトムアップ的手法を組み合わせた直接・間接排出量推計手法の完成: トップダウン的手法である産業連関分析とボトムアップ的手法であるプロセス分析の長所・短所を改めて整理した上で、中国の自動車産業に適用する際の限界を補完する形でその2手法を統合したハイブリッド手法を開発した。実際にその手法を中国に適用し、現状の1台当たり及び自動車産業全体のCO2排出量の推計を行った。 2) サプライチェーン下流の最新状況の分析と把握: サプライチェーンの最下流である最終消費者にあたり、刻々と変化する途上国独特の交通手段活用の変化の研究も引き続き行い、シナリオ作成の参考となるビジョン構築とそれに対する現地での評価を調査した。また、下流の消費量に影響を及ぼす人口・世帯分布に着目し、転居理由の7割を占めるライフステージ変化別に、転居傾向及び転居前後の交通行動を分析し、居住誘導のターゲット世帯を明らかにした。 3) 上流・下流の分布変化を考慮した将来シナリオの作成とCO2排出量削減策の検討: 将来シナリオとして、サプライチェーン上流である産業構造の変化,技術進歩,工場移転とともに、下流である消費者側の家計消費、人口、都市化率の変化のシナリオを構築した。完成させた推計手法を用いて直接・間接排出量を推計することで、CO2排出量に与える影響を定量的に明らかにした。これにより、本研究課題全体の目的であるサプライチェーン立地(上流)と消費者分布(下流)の両面の変化を考慮したシナリオ比較による間接CO2排出量の削減策を示すことができた。
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