本研究では、露店商集団研究を、歴史学、特に日本近現代史研究の観点から推進し、新たな視座を構築するための具体的な試みとして、1930年代から40年代にかけての露店商業界紙『関西侠商新聞』・『小商人』・『日本商人』からの情報抽出・整理に基づくデータベース構築と、これに基づく露店商集団の研究を課題とした。 最終年度である2018年度には、上記の『関西侠商新聞』1930年1月18日付の1号から1931年1月1日付の12号、『小商人』1931年10月15日付の1号から1937年7月15日付の67号(但し4、52、55、64、65号は欠号)、『日本商人』311号、314号、320号、321号を整理し、そこに掲載された露店商の広告約7000件について、氏名、屋号、業種、住所所在地などの情報を可能な限り抽出し、データベースの基礎となる資料を作成した。 また上記の露店商業界紙の分析から得られた知見を生かして昨年度刊行した拙著『近現代日本の都市形成と「デモクラシー」』をふまえ、露店商に関する情報を豊富化するための情報収集や史料調査・収集をおこなった。 さらに、上記の1930・40年代の露店商業界紙の分析をふまえ、戦後の露店商集団の在り方に視野を及ぼした内容について、2018年10月28日の部落問題研究所の部落問題研究者全国集会分科会歴史Ⅱにおいて、「占領期大都市近郊都市における「デモクラシー」と地域 ―東京都八王子市を事例に―」と題する報告を行った。
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