研究課題
平成28年度は術前スクリーニング開始までの準備期間とした。平成28年7月から平成29年1月までに新潟大学医歯学総合病院消化器外科に全身麻酔手術のため入院した消化器手術患者は300名であった。その内、105例は除外基準を満たし、最終的に195例を解析対象とした。対象195例の中で、呼吸リハビリ外来にコンサルテーションがあり、呼吸不全リスク指数より術後呼吸器合併症の高リスクと判定された18名で術前呼吸リハビリテーションを実施した。呼吸リハビリは、専任の理学療法士によって、標準化されたマニュアルに沿った手技で行った。また、患者指導用のパンフレットも作成し、術前指導の充実を図った。呼吸リハビリの安全性に関して、運動負荷に伴う合併症による中止は0名であり、術後呼吸器合併症の高リスク患者にも忍容性があるものと判断した。その他、手術自体の中止のためリハビリ終了が3名、手術延期のためリハビリ終了が1名であった。対象患者195例の内、術後呼吸不全および術後肺炎を合わせた術後呼吸器合併症は7件(3.6%)の発生がみられ、術前呼吸リハビリテーション施行例においては1件(5.6%)の発生であった。まだ介入症例および合併症発生件数が少ないため有意な差はみられていないが、術前呼吸リハビリ施行例では、合併症の高リスクであるにも関わらず従来の報告に比較して合併症発生率が低く、有効性が示唆された。なお、本研究内容に関して、新潟大学倫理審査委員会において研究計画等の審査を受け、承認を受けた。
2: おおむね順調に進展している
術前呼吸リハビリテーションの適応を専門外来で判断し、呼吸リハビリを専任理学療法士によって標準化された手技で行う体制が整ってきている。呼吸不全リスク指数の算出について、多職種に指導を行っているところである。
引き続き、対象症例をエントリーしていき、術後呼吸器合併症の発生状況の調査を継続する予定である。また、術後呼吸器合併症の高リスク群と判定された例では術前呼吸リハビリテーションの導入を行い、合併症予防効果を検討していく。術前スクリーニングについては多職種の協力を得て、体制が整い次第開始する予定である。
まだデータ収集および解析が本格化しておらず、一部の物品を未購入のため。
次年度以降で物品購入を行い、助成金を使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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