研究課題/領域番号 |
16K21045
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
穂苅 諭 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00771213)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 呼吸リハビリテーション / 術後呼吸器合併症 / 術後肺炎 / スクリーニング |
研究実績の概要 |
消化器手術の術後呼吸器合併症(PPC)の予防のため、呼吸不全リスク指数による術前スクリーニングとそれに基づくハイリスク例に対する術前呼吸リハビリテーション介入を継続しており、プロスペクティブにPPC発生の有無等を評価している。 2016年7月から2018年3月までに消化器手術のため入院した434例を対象として集計すると、2010年7月から2012年3月までの期間に消化器手術を施行したコントロール群346名と比較して、有意に高齢者が増加しており(中央値67歳 vs 68歳,p=0.049)、術前呼吸リハビリテーション施行例が有意に増加していた(1.6%→12.7%)。全体でのPPC発生頻度に明らかな変化はみられなかったものの(4.9%→4.4%)、本研究期間では術前呼吸リハビリ施行群でPPC発生が高頻度であり(0%→20.0%)、一方で未施行群でPPC発生は有意に頻度が低下していた(5.0%→2.1%, p=0.031)。なお、呼吸リハビリテーション施行中の有害事象はみられていない。 以上より、呼吸不全リスク指数による術前スクリーニングの取り組みによって、積極的な周術期介入が促され、効率的にハイリスク例に対して呼吸リハビリテーションが施行されていると考えられた。一方で、プライマリアウトカムであるPPC発生減少は現時点でみられておらず、患者背景やリハビリ内容からその原因検討が必要であると思われた。 今後、引き続き症例集積を続け、術前スクリーニング、呼吸リハビリテーション、PPC発生等について調査を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究期間では想定よりもPPC発生が低頻度であり、適切な介入効果判定には全体の症例数が不十分となっている可能性があり、期間延長により症例数のさらなる増加が必要と考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
術前呼吸リハビリテーション介入の適切な効果判定のため、症例数や患者背景などをマッチさせた対象群を設定することを検討する。 また、術前のスクリーニングを一律で行う体制の確立が不十分であり、手術当該科や呼吸器内科とも連携しながらスクリーニングを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に研究成果発表や意見交換のため参加を予定していた国際学会に参加できなかったため次年度使用額が生じた。次年度分として国際学会等への旅費、未購入のプリンタや追加購入の必要なソフトウェアや記録媒体などの物品費、論文投稿の際の必要経費に充当する予定である。
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