研究課題/領域番号 |
16K21049
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
池田 吉史 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 助教 (20733405)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 実行機能 / 抑制 / ワーキングメモリ / ストループ / 知的障害 / 発達障害 / 認知 / 前頭前野 |
研究実績の概要 |
実行機能とは、取り組むべき目標の要請に応じて自己の認知を制御して適切に行動するための脳機能であり、目標に関連しない情報を「抑制」できることが発達的に重要である。そこで本研究では、知的障害児・者の「抑制」特性を解明するために、①「抑制」が必要な状況を明らかにすること、②「抑制」のメカニズムを明らかにすること、③「抑制」と適応行動との関連を明らかにすることを目的としている。 1年目の平成28年度は、「抑制」が必要な状況を明らかにするために、Animal Size Testと呼ばれる干渉課題を用いて干渉メカニズムの解明を試みた。この課題では、実際には人間より大きい動物(例えばゾウ)が課題上では小さい絵で示され、実際には小さい動物(例えばトリ)が大きい絵で示され、その絵の大きさを回答することが求められる。その際、実物の大きさから干渉を受け、反応時間の遅延や誤反応の増加が見られる。そうした遅延や増加を最小限に抑えられるほど抑制能力が高いとみなすことができる。しかしながら、先行研究では、干渉が刺激に結びついた異なる反応を処理する段階で生じているのか、それより前に刺激に結びついた異なる情報を入力する段階で生じているのかを区別することができていなかった。そこで、まず定型発達成人を対象として実験を行い、この点について検討したところ、干渉は刺激の反応段階のみならず入力段階においても生じることが示された。次に、知的障害者を対象として実験を行ったが、定型発達成人と同様の結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
定型発達成人を対象とした実験はすでに完了しているが、知的障害者を対象とした実験は計画していたフィールドのみでは十分なサンプルサイズが確保できなかったため、さらに追加する必要が生じたからである。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、これまでのフィールドに加えて、知的障害者のフィールドを新たに開拓して実験を行う予定である。そのため、実験補助のための謝金や旅費としての経費使用が多くなることが見込まれる。
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