本研究では,光ファイバーを利用しクロマトグラフィーによって分離される分析物を逐次検出できるセンサーの開発を目的とした。光ファイバーについては光の全反射の際に漏洩するエバネッセント波を利用する全反射減衰(ATR)法および,導波路にグレーティングが書き込まれた長周期ファイバーグレーティング(LPFG)について検討した。それぞれの光ファイバーセンサーを封入したフローセルを作製し,送液ポンプへ接続してフローセル内径や流速による感度への影響を明らかにした。 また,ODSカラムによって分離されたメチレンブルーとニューメチレンブルーの応答をそれぞれ確認できた。しかし,二種類の光ファイバーセンサーによる検出感度はそれぞれ汎用の検出器には及ばなかった。そのため,センサー表面の化学的な改質による感度の向上が必要であると考えられる。本研究ではシランカップリング剤に着目し,様々な官能基を修飾したが,センサーが円筒状であることから再現性に乏しく,修飾方法に関してさらなる検討が必要であった。本法は,検出系の可搬性に優れ,気泡や夾雑物の影響を受けにくい特徴があり,特にATR法ではミリ秒単位で紫外から近赤外領域までの幅広い波長のスペクトルが検出できるという点で特色を示した。
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