研究課題
本研究は、IFNλ4に機能的役割を解明することを目的とする。申請者は、動物細胞由来のIFNλ4リコンビナントタンパク質の精製に成功している。興味深いことに、大腸菌由来のIFNλ4リコンビナントタンパク質と動物細胞由来のIFNλ4リコンビナントタンパク質ではその生理活性に大きな違いがあることを見出した。本年度は、IFNλ4の生理活性には糖鎖修飾が重要であることを見出し、その糖鎖付加部位を特定した。IFNλ4は抗がん剤による抗腫瘍効果を増強させるが、その効果は、IFNλ4がATF2-cJUN経路を活性化させることが要因であることを見出した。更に、STAT3やSOCS3の発現誘導も抗がん剤による抗腫瘍効果の増強に影響を与えていることを見出した。更に、IFNλ4の抗腫瘍効果は細胞株によりその感受性の違いがあり、その違いはp53の変異に依存することを見出している。申請者はIFNλ4の遺伝子発現をリアルタイムPCR法により特異的に検出する系を確立しているが、本年度は、IFNλ4のタンパク質を特異的に検出する測定系の開発の準備に取り掛かった。IFNλ4のリコンビナントタンパク質の精製に成功したことから、IFNλ4特異的抗体の作成を試みており、作成された抗体を用いてELISA系を確立する。IFNλ4はIFNαやIFNλ3と同様に抗ウイルス効果を示すことを種々のウイルス感染細胞で確認したが、癌細胞に対する反応性に関してはIFNαやIFNλ3には認められず、IFNλ4特異的に認められることから、IFNλ4の癌細胞に対する特異的反応性の解明は新規肝癌治療法に応用できる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、IFNλ4のリコンビナントタンパク質の大量精製に成功し、IFNλ4抗体の作成に取り掛かることが可能となった。更に、各種IFN(IFNα、IFNλ3、IFNλ4)の恒常的発現細胞株やそれらIFNレセプターのノックアウト細胞の作成に成功し、より詳細にIFNλ4の特異性を解析することが可能となった。
現在、IFNα、IFNλ3、IFNλ4をそれぞれ処置した細胞における次世代シークエンス解析を行っており、この解析結果から、IFNλ4の特異的な遺伝子発現、シグナル伝達経路の解明を行う。今後は培養細胞を用いて解明した結果をマウスを用いて検証する。
(理由)本年度の研究計画が予定よりも順調に進めたこと。次年度はマウスを用いた実験が主になる為、本年度以上の予算が必要になると判断した。(使用計画)癌細胞を移植するためのマウスの購入。学会発表、論文投稿の為に予算を計上している。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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