研究実績の概要 |
臨床検体におけるIFNλ4の発現解析と臨床学的意義を検討した結果、肝組織のIFNλ4の発現はDAAs治療後のnon-SVR症例で有意に発現上昇していた。肝組織のIFNλ4の発現はDAAs治療例の治療成績と関連していることが示唆された。また、肝動注化学療法奏効例12例の肝組織におけるIFNλ4の発現は非奏効例8例のIFNλ4の発現に比べ有意に発現上昇していた。 IFNλ4の新規シグナル伝達系を検討した結果、IFNλ4は抗ウイルス活性のみならず、他のIFNとは異なり非常に強い抗腫瘍活性を示した。その作用機序として、IFNλ4は他のIFNとは異なり、JNK-ATF2シグナルを活性化することを見出した。そこで、各種IFN (IFNα, IL28B, IFNλ4) のリコンビナントタンパク質をヒト初代肝細胞にそれぞれ処置した後、次世代シークエンス解析を行った。その結果、IFNλ4により特異的に誘導される遺伝子群を同定した。IL28BとIFNλ4はIL28RAとIL10Rのヘテロダイマーを共通のレセプターとして利用しているという報告がある。しかしながら、本研究から、IFNλ4はIL28Bとは異なる表現系を呈することが明らかとなっており、それにはIFNλ4特異的なレセプターが既報のレセプター以外に存在することが想定された。その新規候補レセプターとしてタイプIIサイトカインレセプターに対するsiRNAスクリーニングを行い、レセプターA及びBが新規レセプターであることを同定した。IFNλ4の新規レセプターA及びレセプターBの下流のシグナルを解析することによりIFNλ4の新たな機能的役割が明らかとなることが期待される。 更に、IFNλ4の抗腫瘍効果の検討を行った。NOD-SCIDマウスを用いたxenograftモデルにてIFNλ4が抗腫瘍効果を示すことをin vivoで確認した。
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