平成29年度の研究目的は、感圧センサの感度向上、駆動電圧の低下、作製プロセスの改善、素子のフレキシブル化を進めることである。同時に駆動メカニズムの解明に関する研究やセンサシートを作製し、シート上の圧力分布を可視化するためのシステム開発も進めることである。 このような目標設定であったが、前年度の研究が予定より早く進んだため前倒しで前年度から研究に取り組むことができた。その結果、素子のフレキシブル化や再現性良く素子を駆動させるためのプロセスの改善にといった課題に対する取り組みを年度の第一四半期から始めることができた。 当該年度の研究の結果、フレキシブルな感圧センサの作製にも成功し、ガラス基板上で作製した素子と同等あるいはそれを上回る特性を得ることができた。またフレキシブル基板を用いて作製したOFETでも安定して移動度が0.2~0.3cm^s/Vs、On/Offが10^6程度、SS値が100~150 mV/decとなって駆動するための鍵となるプロセスの確定に成功した。これらは溶液プロセスによる結果であるが、印刷法を使った作製にも取り組み始めている。これらの結果は、招待講演を含む国内外の学会にて発表することができた。これらの内容については、雑誌論文を複数報準備中である。 同時に、感圧シートの作製に取り組んだ。シート上の圧力分布を可視化するためのシステム開発も進めることができた。この研究開発を通して、センサをシート化する上で、センサデバイスそのものやシートの作製プロセス、読み取り用のシステム、それぞれでの課題を抽出することができ、次に繋がる知見を得ることができた。現在は、シートの安定動作に向けた開発を進めている。
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