研究課題/領域番号 |
16K21063
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
木曽 久美子 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (00714007)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 認知地図 / スケッチマップ / 記号過程 / 共起 / ランドマーク知識 |
研究実績の概要 |
計画通りこれまで構築した共起確率評価システムを精緻にすることを目指し、新たな対象地として選定した福井駅を含む福井市の都心部を対象としたスケッチマップの描画調査結果を分析することを通して、共起性の分析方法を構築した。 構築した方法はスケッチマップ上に描画された建築記号の多義性の解明に係るものであり、共起確率評価システムの構築のために必要である。 そして多義性解明のために構築したこの分析方法は、順に(1)Jaccard係数を共起度に用い、共起ネットワークを用いてスケッチマップ上の建築記号間の共起性を直感的にわかりやすく描画する、(2)構築したネットワークを各種中心性に基づいて分析する、(3)ネットワークの分析に基づき、各建築記号の多義性の分析を行うという手順で成り立っている。 このときより汎用性の高い分析方法の構築のために、これまでの研究過程で日常的に自動車を利用する被験者によるスケッチマップと、そうでない被験者によるスケッチマップとでは異なる共起性が表れていたことに着目し、これら2つを比較しながら日常的な自動車の利用による共起性の違いを分析した。これによって、被験者に自動車の利用の有無にある場合も含めて共起性の分析を行うことができる。 加えて、構築した方法をより精緻にするため、さらに新たな調査対象地に対して、スケッチマップの共起性分析のためのベースとなる調査として、地域の人々の基本属性調査、及び地域のイメージについての初期調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに新しい調査地で行った調査結果の分析方法を構築出来た。また構築した分析方法をより精緻にするために、さらに別の新たな地域を対象として地域のイメージについての初期調査を行い、調査結果をまとめることができた。本調査は共起確率評価システム構築に必要なスケッチマップ調査のベースとなる調査である。 しかし昨今の状況の中、当該地域に対して予定していたスケッチマップの調査は実施できていない。 従って、当初の計画以上の進展が見込まれたものの、結果としては当初の計画通りに進んでいる状況にあると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
可能な範囲で、初期調査を実施できた調査対象地に対してスケッチマップの調査を実施するか、あるいは新しく別の調査対象地に対してインターネットを利用した調査を実施し、調査結果の分析を試みる。 調査結果に基づいて、共起確率評価システムをより精緻に構築することを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じているのは、2019年度に入院のため2ヶ月間研究を中断をしため、そして近年の新型コロナウイルスの影響で、調査協力先に配布予定の印刷物の印刷が延期されたためである。 次年度使用額については、日本建築学会計画系論文集(4月に再査読の返答済)の登載料、別刷り印刷費、延期された印刷費に支出を予定している。
|