注意欠如多動症(ADHD)児において同年代と比較し運動機能が低い可能性を示し、また歩行においては歩行中の運動パターンに違いがあることを示唆した。さらに、ADHD児の日常生活における運動の困難さとADHD症状や運動機能の低さとの関連性はなく、自閉症スペクトラム指数との関連性を認めた。これらの結果より、ADHD児の日常生活における運動面での問題は、自閉スペクトラム症の示す社会性の低下やコミュニケーション障害と関与している可能性を示唆した。 funtional NIRSを用いた脳血流の評価は、6名の成人男性を対象に予備的に実施した。運動課題はBox&Block testを用いた。ADHD児の障害特性を考慮し、運動課題中に数字の逆唱を行う認知課題(2重課題)を設定し、ボックスデザインにてそれぞれ3施行ずつ行った。課題はすべて右手で実施した。解析部位は左前頭極(ブロードマン10野)とした。2重課題時の脳血流量のピーク値は、運動課題のみと比較し、3名は増加したが、3名は脳血流が同程度もしくは低下した。対象者のADHD症状を質問紙にてスクリーニングを行なったが、一定の傾向は示さなかった。今後は、課題中の脳血流量の反応量(積分値)や反応性(重心)、認知課題の検討していく予定である。その他、予定していたウェアラブル機器を使用した評価は測定および予備データの解析が進んでおらず結果はでていない。そのため、予定していた介入研究までは進んでいない。またMRI画像の解析は現在進行中である。
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