研究課題
若手研究(B)
ADHD患者の運動障害の特性と原因の解明を目的に、3次元動作解析装置による動作解析およびMRI画像解析を行った。動作解析ではADHD児の歩行中の姿勢パターンの違いを明らかにした。また日常生活で認める運動障害はADHD特有のものでなく自閉スペクトラム症の影響を受けている可能性があることを示した。さらにMRI解析では運動障害に関連する脳部位の断定はできなかったが、下頭頂小葉や上小脳脚との相関傾向は認めたため脳部位の発達遅延や神経線維の脆弱性が関与している可能性が考えられた。
リハビリテーション医学
ADHDを有する児童の多くは、学校や家での日常生活において運動面での苦手さから、親から怒られたり、周りと比べ自信をなくしたりするきっかけになっている。我々の結果より、ADHD児は運動機能そのものが低いことに加え、体の使い方や社会性の障害の影響を受けている可能性を示すことができた。また運動機能の低さは脳の発達遅延の影響も少なからず受けていることが推察され、ADHDを有する児童への運動や日常生活指導のあり方の一助となる根拠を示せたと考えている。