研究課題/領域番号 |
16K21067
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
撹上 将規 信州大学, 先鋭領域融合研究群国際ファイバー工学研究所, 助教(特定雇用) (90567249)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 炭化ホウ素 / 前駆体構造 / 繊維化 / 電界紡糸 / ポリビニルアルコール / 熱炭素還元 / 低温合成 |
研究実績の概要 |
本研究は、ホウ酸‐ポリオール縮合物からの特徴的な酸化ホウ素(B2O3)‐炭素構造体の形成およびこれを活性前駆体とした炭化ホウ素(B4C)粉末の低温合成に成功した実績を踏まえ、ホウ酸‐ポリオール縮合物を繊維化することでB4C合成における形態機能性の発現を目指す。平成28年度は、ホウ酸‐ポリオール縮合物の繊維化およびB2O3‐炭素構造体繊維の作製について検討した。
1、ホウ酸‐ポリオール縮合物の繊維化 ポリオールとしてポリビニルアルコール(PVA)を用いて、乾式紡糸および電界紡糸(エレクトロスピニング)によりホウ酸‐PVA縮合物の繊維化に成功した。それぞれの紡糸手法についてホウ酸‐PVA溶液調製条件および紡糸条件の検討を行うことで、縮合構造を維持したまま、より均一な形態の縮合物繊維を得ることができた。 2、B2O3‐炭素構造体繊維の作製 1、で作製したホウ酸‐PVA縮合物繊維を大気中で熱分解することで、B2O3‐炭素構造体繊維を作製した。大気中熱分解条件はこれまでのホウ酸‐PVA縮合物における最適条件を用い、これにより繊維状の熱分解物が得られた。得られた熱分解物の構造形態をSEM観察したところ、繊維化しないものと同様に、B2O3粒子が炭素マトリックス中に存在する海島状のB2O3‐炭素分散構造が観察された。特に、電界紡糸により作製されたホウ酸‐PVA縮合物繊維からは、繊維化しないものと比べてB2O3粒子が微細分散した繊維状のB2O3‐炭素構造体が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホウ酸‐ポリオール縮合物繊維、および目的とする構造形態を有する繊維状B2O3‐炭素構造体の作製に成功している。また、得られたB2O3‐炭素構造体繊維の分散構造は、繊維化しないものと比べ非常に微細な構造となっていた。これにより、ホウ酸‐ポリオール縮合物の繊維化によるB4Cの低温合成についても期待される。
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今後の研究の推進方策 |
繊維状B2O3‐炭素構造体を前駆体として用いたB4C合成について検討を行う。これにより、形態異方性を有するB4Cの合成を目指す。また、繊維化によるB2O3‐炭素分散構造の微細化を利用したB4Cの低温合成について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に物品費として計上していた装置について納品が次年度となったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、4月に納品予定の物品に使用する。 平成29年度請求額は、当初の予定通り使用する。
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