研究課題
モデル酵素としてフルクトース6-リン酸アルドラーゼ(FSAA)を選択し、本タンパク質の一次配列を網羅した複数ペプチド鎖の大量合成に取り組んだ。固相合成法の限界は30~40アミノ酸残基程度とされており、220残基からなるFSAAの化学合成を達成するためには、固相合成法により数十残基のペプチド鎖を構築した後に液相でこれらペプチド鎖を縮合する戦略が必要である。無保護ペプチド鎖を縮合する手法としてnative chemical ligation法と脱硫反応を組み合わせた手法を利用することとし、FSAA配列中のアラニン部位でペプチド鎖を分割することとした。FSAAの一次配列をFr1(1-33)、Fr2(34-61)、Fr3(62-94)、Fr4(95-124)、Fr5(125-159)、Fr6(160-178)、Fr7(179-220)の7つに分割し、それぞれの固相合成法について検討した。この結果、Fr1(1-33)、Fr2(34-61)、Fr3(62-94)、Fr4(95-124)、Fr5(125-159)、Fr6(160-178)、Fr7(179-220)の6つのペプチド鎖の合成を達成した。Fr5(125-159)はN末端システイン含有ペプチドチオエステルとして合成を試みたが、Boc法による直接合成、側鎖アンカー法による合成いずれにおいても満足いく収量で所望のペプチド鎖を得ることはできなかった。Fr5(125-159)合成にペプチドヒドラジドを利用するペプチドチオエステル合成法が適用できるか検討を加えている。
2: おおむね順調に進展している
FSAAの完全化学合成に取り組むにあたり、FSAAをFr1~Fr7の7つのペプチド鎖に分割して固相合成した後にnative chemical ligation法による縮合と続く縮合部位システイン残基の脱硫反応によるアラニン残基への変換を経る合成法を立案した。Fr1(1-33)、Fr2(34-61)、Fr3(62-94)、Fr4(95-124)、Fr5(125-159)、Fr6(160-178)、Fr7(179-220)の7ペプチド鎖の固相合成を検討し、Fr5(125-159)を除く6つのペプチド鎖については合成を達成した。Fr5(125-159)はN末端システイン含有ペプチドチオエステルとして合成を試みたが、Boc法による直接合成、側鎖アンカー法による合成いずれにおいても満足いく収量で所望のペプチド鎖を得ることはできなかった。
Fr5(125-159)の合成法としてペプチドヒドラジドを前駆体とする合成手法を適用する。本ペプチドはN末端システイン含有ペプチドチオエステルとして合成する必要があるが、ヒドラジド法ではこの分子型を直接合成することはできない。このため、N末端システインの等価体として4-カルボキシチアゾリジンをN末端に有するペプチドヒドラジドを直接チオエステルへと変換する手法の開発に取り組む。
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https://wwp.shizuoka.ac.jp/sato-kohei/