研究実績の概要 |
裂手裂足症は、単独で発症するタイプと、裂手裂足症+脛骨形成不全(SHFM with long-bone deficiency, SHFLD)や裂手裂足症+大腿骨形成不全 (GollopWolfgang Complex, GWC)などの関連疾患の一部の表現型として発症するタイプに大別される。われわれは、現在までに140家系以上のSHFM、SHFLD、GWCの患者 を集積した。希少疾患であるSHFM および関連疾患を有する多数の患者 を集積し、解析を進めているのは、少なくとも本邦ではわれわれのグループのみであり、このような多数の検体集積は、全国の臨床医ならびに患者会と連携することで実現した。 効率的に研究を進めるために連携協力者から十分な支援を受けることが可能な環境であった。ほぼ当初計画通りに進め、時に分子遺伝学的解析手法の変更などを含めて、連携協力者とディスカッションを行っていた。 2019年度も引き続き、裂手裂足症について全国から集積された家系ならびに今後集積される家系患者の包括的解析、および、新しく見いだされた候補遺伝子の解析を行った。 特に、次世代シーケンサーの遺伝子解析において、複数の患者に塩基置換が同定された遺伝子を候補遺伝子としていくつかの遺伝子を同定し、マウスwhole mount in situ hybridizationによる発現部位の解析を行った。 最終年度の成果では、新規のSHFMの候補遺伝子として、ノックアウトマウスおよびSHFMの患者の遺伝子解析結果から、LRP6およびUBA2が可能性があることを見出した。また、既知の遺伝子変異だけではなく、既知の原因遺伝子のまれな変異をTP63、DLX5、IGF2、WNT!0B、PORCNで同定した。これらの成果は論文発表を行った。
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