シロアリの兵隊は,防衛に特殊化した形態をしている.兵隊への発生は,遺伝的に決定されるものではなく,環境要因によって後胚発生の過程で決定され,昆虫のホルモンの一つ幼若ホルモンによって制御される.本研究では,ショウジョウバエでは翅原基で発現するMsh遺伝子が,タカサゴシロアリではホルモンの下流で兵隊特異的な形態変化に関わる遺伝子であることがわかった.この他にも他の昆虫では翅の形成に関わる遺伝子が兵隊への発生過程で発現上昇していることも突き止めた.以上のように,シロアリのカースト分化決定には,翅で働く転写因子が深く関わることを示唆する結果を初めて得た.
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