2018年度には、6月2~3日に日本ラテンアメリカ学会に参加し、研究成果の一部を発表した。ボリビアのFundacion UNIRから入手した社会紛争のデータ、UNDPの公開情報などから得られた社会経済指標、ボリビア経済財務省から得られた地方自治体レベルの財政データ、そしてLAPOPサーベイの公開データを用いて、ボリビアの地方自治体レベルでどの程度本研究の仮説が当てはまるかを検証した。定量的分析だけでなく、それまでにボリビアの現地調査で得られたインタビューデータも複合的に用いた。その結果を踏まえて、2018年8月8~23日には、ペルーとボリビアにて追加の事例調査と情報収集を行った。 さらに、2018年8月~2019年1月には、九州大学および東北大学の研究者とともに、「天然資源開発と社会的受容」との共通テーマにて計3回のワークショップを開催した。実際に鉱山開発に関わる地元住民との関わりについて研究を行ってきた社会科学者や自然科学者(鉱山学、地球科学など)と意見交換することで、本研究の成果を発表するとともに、さらなる研究の進め方を検討することができた。 本研究の開始後2016年に、ボリビアにて社会紛争のイベントカウント・データの提供を求めたが、データを保有するCERES/CIUDADANIAのデータ保存状態が悪く、データ提供には長期間の整理作業が必要とされた。そのため、実質的には当初予定されたボリビアの長期データは入手困難となり、別の代替案を探る必要が生まれた。そこで、本研究は4つの代替案を立て、それぞれについて研究成果をあげた。2018年度には、そのうちボリビアの地方自治体レベルのLarge-N比較研究について具体的な研究成果をあげ、日本ラテンアメリカ学会において成果を発表したほか、2018年末に国際ジャーナルに投稿した。その他の研究成果についても随時発表するよう準備を進めた。
|