研究課題/領域番号 |
16K21090
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥田 裕之 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90456690)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 運転行動モデル / ハイブリッドシステム |
研究実績の概要 |
行動モデルのデータベースの構築を目指して,1.シミュレータによる運転行動計測環境,ならびに,実車両における運転行動計測環境を整備し,特に実環境においては,公道走行可能な普通車に各種センサを装着し,車両の位置や運転行動の計測が可能にしたこと,2.市街地で実際にテスト走行を行い,上記計測システムの動作確認をするとともに,実際に数時間走行実験を行うことで,実環境における走行データの収集を行ったこと,3.行動モデルパラメータの時系列でのトラッキングする(モデリング対象である人間の時間経過に伴う変化をパラメータの変化として捉える)ための手法を新たに提案し,解析データに対して現実的な時間での行動解析が可能となったこと,が,主な成果として挙げられる. 現状では,まずシミュレータにおいて,高速道路における合流シーンで,流入交通に対応する運転行動を28名分,狭路におけるすれ違い運転行動に関するデータを4名分,通常の道路のレーン追従運転行動を6名分,取得しており,また,実走行車においては,通常の道路のレーン追従運転行動を8名分,交差点右左折や渋滞,信号停止などを含む一般的な市街地走行データを1名分,収集している.これらに対し,上記の3の手法や,これまでに研究代表者らが開発してきたハイブリッドシステムモデルによる運転行動モデルの構築手法などを適用し,各ドライバに普遍的な特徴,個人による特徴,そして時間的な変化など多角的なモデルの違いについて考察,まとめ,そのモデルのばらつきやパラメータ分布などをデータベース化し,統計的に解析する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実車のデータ観測システムについて,構築が遅れており,データをおよそ観測できるようになったものの,カーブや前方車が遠い状況で求められる精度にてデータを取得することができていない.これに対し,カメラやミリ波センサ等を適宜追加し,センサフュージョンを構築することで推定の信頼度を向上させる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
まずは実車での運転行動観測環境の整備に注力し,実写環境で十分な運転行動データを取得できるように準備を進める. 一度運転行動観測ができるようになり,運転データが集まれば,ドライバモデルの推定手法についてはこれまでのノウハウの蓄積があるため,適用に関して大きな問題は生じないと考える. 実車とシミュレータで,一部タスクについて共通が測れていないものがあるため,シミュレータと実車にて比較すべきタスクを1つ,あるいは2つに限定し,まずは基礎的な運転行動の違いの比較を行いつつ,徐々に対象となるタスクやドライバの数を増やしながら運転行動データとそのモデルのデータベースを拡充していきたいと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
実環境データの計測システムの増強に利用する. また,成果の対外発表のための旅費として利用する.
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