研究課題
本研究は,年縞を保存する湖成層である,モンゴルの白亜系シネフダグ層と北米の始新統グリーンリバー層を対象とし,白亜紀中期および始新世前期“超温室期”における数年~万年スケール気候変動の実態解明を試みてきた.これまでの研究で,シネフダグ層は白亜紀中期における太陽活動周期とほぼ一致した十年~千年周期の気候変動が記録されていることが明らかになった.そこで,グリーンリバー層でも太陽活動周期に類似した十年~千年周期の気候変動が見られるかどうかの検証を行った.さらに,地球軌道要素変動(数万~数十万年規模)の日射量極大期・極小期において,北半球中緯度の陸域気候システム変動がどのように変動していたのかを詳細に復元することを目的とした.昨年度に引き続き,本年度8月にユタ州北部に露出するグリーンリバー層の露頭調査と高解像度試料採取(30cm~1m毎)を行った.露頭調査の結果から,約2mおよび10mの周期で岩相が変動しており,モンゴル白亜系の湖成層と同様に,地球軌道要素変動を反映した湖水位変動を記録していることが明らかになった.そこで,記録される古気候情報を定量的に復元するため,採取試料(計356試料)をElemental AnalyserやXRF,ICPMSを用いて分析し,主要・微量元素組成変動を復元した.その結果,湖水位変動とは独立に,湖表層生物生産量が変動していることが明らかになった.また米国コロンビア大学ラモント地球研究所に保管されているグリーンリバー層のコア試料をマイクロXRFコアスキャナーで分析した結果,約400年や1000-1500年周期という太陽活動周期に類似した周期性で湖水位変が変動していた可能性が明らかになった.これらの成果の一部は1編の筆頭著者論文として国際誌に公表し,日本堆積学会・地球惑星科学連合等で口頭発表したほか,2編の国際誌論文として投稿準備中である.
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
Island Arc
巻: 27 ページ: e12243~e12243
doi.org/10.1111/iar.12243
Royal Society Open Science
巻: 5 ページ: 172250~172250
doi.org/10.1098/rsos.172250
Geology
巻: 45 ページ: 879~882
DOI:10.1130/G39237.1