研究課題
本研究はまず間質性肺疾患患者の咳嗽重症度を評価し、咳嗽重症度と病態進行度との関連性を明確にする。次に、効果の機序を明らかにしつつ間質性肺疾患の難治性咳嗽への新規咳嗽制御技術を創出する。平成29年度は、横断研究と前後比較試験のパイロットスタディを実施した。横断研究は、間質性肺疾患患者のうち、特発性間質性肺炎、膠原病合併間質性肺炎、過敏性肺炎患者を対象に、間質性肺疾患の咳嗽重症度の評価と関連因子の解明を行うものである。サンプルサイズは142名であったものの、リクルートした患者は155名となり十分な症例数が確保された。現在、データクリーニング中である。前後比較試験は、咳嗽症状を呈している間質性肺疾患患者(特発性間質性肺炎、膠原病と診断した患者)に対し、胸部固定帯の咳嗽制御効果を主観的評価とともに客観的評価を用いて前後比較で検証し、さらに静脈血採血により、その機序を明らかにするものである。パイロットスタディは、前後比較試験のためのサンプルサイズ計算に必要な有効な情報がないため実施している。目標症例は5名であり、データ収集が完了した。本パイロットスタディはサンプルサイズ計算への寄与のみならず、被験者への負担や実験機器への対応等も確認でき有意義であった。今後は、効果量および標準偏差を求め、前後比較研究のサンプルサイズを確定し、研究計画書の変更申請を医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理委員会へ提出する予定である。
3: やや遅れている
当初平成29年度は胸部固定帯の咳嗽制御効果を前後比較試験で確認する予定であったが、対象者のリクルート等に難渋したこともあり、パイロットスタディまでの実施となった。しかしながら、先行して実施した横断研究のリクルートが完了し、データクリーニングおよび解析へ進んでいる。また、前後比較試験のパイロットスタディをもとにサンプルサイズ計算を実施し本試験への準備が進められている。
横断研究は、解析を完了し、平成30年度中に研究成果を国際誌に投稿し、さらに国内外の学会、京都大学大学院医学研究科クリティカルケア看護学分野のホームページ等により発信する予定である。前後比較試験は、パイロットスタディの結果をもとに、効果量と標準偏差を決定してサンプルサイズを算出し、研究計画書の変更申請を医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理委員会へ提出し、本試験を実施する予定である。なお、前後比較試験の進捗状況において、対象者のリクルートに難渋する場合、研究実施期間の延長を考慮している。
次年度使用額が生じた理由は、当初計画より進捗がやや遅れたことにより、成果発表としての米国での学会発表および国際誌への投稿が行われなかったためである。次年度使用額と当該年度以降分として請求した(する)助成金を合わせた使用計画としては、横断研究の結果を国際誌へ投稿する費用、国内外での学会発表する際の費用、次に実施予定である前後比較試験実施に伴う消耗品費、国際誌への投稿費用、学会発表費用が挙げられる。
佐藤隆平. 病期・発達段階の視点でみる疾患別看護過程 間質性肺炎. プチナース 2017;26(7):1-19.
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