研究課題/領域番号 |
16K21102
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆平 京都大学, 医学研究科, 助教 (10752058)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 間質性肺疾患 / 特発性間質性肺炎 / 膠原病関連間質性肺炎 / 過敏性肺炎 / 咳嗽 |
研究実績の概要 |
本研究はまず横断研究として間質性肺疾患患者の咳嗽重症度を評価し、咳嗽重症度と病態進行度との関連性を明確にする。次に、前後比較試験等を用いて効果の機序を明らかにしつつ間質性肺疾患の難治性咳嗽への新規咳嗽制御技術を創出する。平成30年度は、横断研究の成果を国際雑誌への投稿および前後比較試験を行った。 横断研究は、間質性肺疾患患者のうち、特発性間質性肺炎(IIPs)、膠原病関連間質性肺炎(CTD-ILD)、過敏性肺炎患者を対象に、間質性肺疾患の咳嗽重症度の評価と関連因子の解明を目的に実施した。129名(男性76名)が解析対象となった。咳嗽強度と頻度とも、IIPsが他疾患群に比べ高い傾向にあった。IIPsでは、咳嗽強度と頻度とも肥満指数、percent diffusing capacity of the lung for carbon monoxide (%DLco)、Composite Physiologic Index(CPI)と相関した。CTD-ILDでは、咳嗽強度と頻度ともfrequency scale for symptoms of gastroesophageal reflux disease (FSSG)、MRC息切れスケールと相関し、咳嗽頻度は%DLco、CPIと相関した。多変量解析から、間質性肺疾患全体の咳嗽強度の寄与因子はFSSGで、咳嗽頻度の寄与因子はFSSGと%DLcoであった。本研究の成果は国際誌へ投稿し、平成31年3月末時点で査読中である。 前後比較試験は、咳嗽症状を呈しているIIPs、CTD-ILDの患者に対し、胸部固定帯の咳嗽制御効果を主観的評価とともに客観的評価を用いて前後比較で検証するものである。現在、パイロットスタディに基づくサンプルサイズに従い症例を蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初平成30年度までに完了する課題であったが、前後比較試験における対象者のリクルート等に難渋したため、補助事業延長の承認を受け令和元年度も実施している。現在、症例数は順調に蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
横断研究は、平成30年度中に研究成果を国際誌に投稿している。国際誌へ掲載が決定した後、京都大学大学院医学研究科クリティカルケア看護学分野のホームページ等により発信する予定である。前後比較試験は、症例数が順調に蓄積されているため、本年度中には解析および国際誌への投稿が実施できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前後比較試験において対象者数の確保に難渋し進捗がやや遅れたたため、2019年度に助成金が持ち越された。 先行して実施した横断研究は、平成30年度中に研究成果を国際誌に投稿しており、掲載が決定した場合、論文掲載料を支払う予定である。現在進行中の前後比較試験は、症例数が順調に蓄積されているため、本年度中に解析が終了し学会発表や国際誌への投稿が実施できると考えている。したがって、次年度へ持ち越した助成金は、消耗品購入のための物品費、情報収集・討論・成果発表のための旅費、論文作成および論文投稿のための文献収集費用・英文校閲料・論文投稿料に使用する。
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