本研究では、若齢時から後肢の歩行異常を呈し、病理学的に神経軸索ジストロフィー(NAD)と診断されたミュータントラット系統(KKラット)に着目した。まず、KKラットの原因遺伝子kk(未発表データ)とその変異を同定した。また、詳細な病理学的解析によって、スフェロイド病変が深部(固有)感覚に関連する感覚神経路に主座すること、KKラットでは軸索輸送の障害やシナプス機能の異常が、スフェロイド・軸索変性の発生メカニズムに関与しうることを明らかにした。本研究で同定した遺伝子kkは、NADや他の神経疾患の原因遺伝子として報告されておらず、KKラットが新たなNADモデル動物として有用であることが示された。
|