研究課題/領域番号 |
16K21118
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永井 宏樹 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80711605)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DOTATOC / Octreotide LAR/PSL / 効果予測因子 |
研究実績の概要 |
胸腺腫瘍においてOctreotide LAR(サンドスタチン)は保険承認がされておらず、前向き臨床試験を検討する場合、医師主導治験もしくは高度先進医療での混合診療が必要となる。このため、今回は前向き試験ではなく、目的の症例数が集積出来た時点で後ろ向きに検討を行い、胸腺腫瘍におけるOctreotide LAR/PSL併用療法のpredicitive markerとして、ソマトスタチン受容体(SSTR)の発現を評価するDOTATOC検査の有効性が期待された場合に、医師主導治験に進む事となった。
現時点で13症例の胸腺腫瘍症例を確認し、胸腺癌10症例、浸潤性胸腺腫2症例、胸腺カルチノイド1症例であった。うち10症例(胸腺癌8症例、浸潤性胸腺腫1症例、胸腺カルチノイド1症例)でDOTATOC撮影を行い、強陽性が2症例、弱陽性が8症例であった。Octreotide LAR/PSL併用療法は7症例で治療が行われ(いずれもDOTATOCは弱陽性)、RECISTによる評価では1例は部分奏効(PR: partial response)、2例は安定(SD: stable disease)、1例は増悪(PD: progression disease)、1例は評価不能(NE: not evaluable、治療効果評価前にdrop outされ、評価できず)、2例は現在、投与継続中(治療効果確認前)である。有害事象はGrade 2の高血糖を認めた程度で、重篤な有害事象は認めていない。残りの3症例では今後、現在の治療で病勢増悪が確認されれば、Octreotide LAR/PSL併用療法を開始予定である。
病理検体によるSSTR-2およびSSTR-5の免疫染色およびPCRについては全ての症例集積が終了後にまとめて施行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
胸腺腫瘍の症例数が予想より少なく、関連病院に働きかけて、紹介症例も増えてきているが、当初の予測よりやや遅れている(15症例はすでにDOTATOC撮影を終了している予定であった)。 また、胸腺腫瘍における初回治療が殺細胞性抗がん薬の併用療法であり、今回の研究であるOctreotide/PSL併用療法は2次治療以降となるため、確認された症例より投与症例が少なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
残り1年でこれまで以上に関連病院と連携し、目標症例数の達成を目指す。 また、紹介された症例でOctreotide LAR/PSL併用療法がまだ未投与の症例は全症例で投与されるため、この1年間で症例登録数は増える事が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例集積を中心に1年間を経過したため、余剰金が生まれた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の免疫染色およびPCRなどの費用に充てるため、問題ないものと考える。
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