研究課題/領域番号 |
16K21120
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩永 甲午郎 京都大学, 医学研究科, 医員 (90750547)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新生児 / 疼痛 / ストレス / NIRS / コルチゾール / 心拍変動解析 |
研究実績の概要 |
①本研究の目的は、健常新生児を対象に処置時の疼痛ストレスとストレス反応について調査し、ショ糖内服が疼痛緩和にもたらす影響について解析するものである。研究開始時にパイロット的に各パラメータの取得状況などを確認し、2018年夏ごろからの本格運用開始とした。現在特に当初の研究計画から逸脱することなく研究を進めている。 ②進捗状況は京都大学医学部附属病院新生児室管理となった在胎37週から41週出生の新生児60名を目標対象数とし、データ収集を進めている。当院での無作為ランダム化としての割り付けが困難であったために、連続した2日間での双方の内服にようデータ収集を進めている。その他、以下の点に関しては、特に変更なく研究を進めている。 ・対象:すべての児は呼吸障害や哺乳障害を呈していない健康な児。授乳後60分以上経過後かつ少なくとも30分間は侵襲的な処置のされていない児。 ・方法:日齢4のマス・スクリーニング採血時と日齢5の黄疸確認用採血時にデータ収集実施している。いずれも血液採取用ディスポーザブルランセットによる定量化された生体侵襲を加え、データを収集・解析できている。血液採取は午前9-11時の間で実施しており、採血手技に関しても特に問題なくできている。有害事象の発生は認めておらず、安全に研究を遂行する。実験環境は他児のいない個室において室内条件を室温22-26℃・平均騒音レベル<60dBで可能であった。 現時点ではデータサンプル数は当初の目標とほぼ同等であるため、現在のペースでの研究を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象およびデータサンプリング・データ解析は問題なく遂行でき、対象となった児におけ鵜有害事象も発生していない。 なお無作為比較対象試験に関しては割り付け困難につき、同一人において連続した2日間での両方(ショ糖内服、蒸留水内服)の試行を行っている。これにより同一の生後日数における両軍比較を横断的解析が可能となった一方で、連続した二日間での縦断的解析(=個人内比較)が可能となった。 疼痛尺度評価のための画像撮影は問題なく行えているが、表情の変化は比較的安定していないため、その他の心拍やSpO2などの生体パラメータと比較すると、過大評価あるいは過少評価の可能性が懸念される。
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今後の研究の推進方策 |
現行の研究手法での解析で安定した解析が可能となっている。 研究期間における目標症例数に到達しない場合には、研究期間延長も考慮されるが現時点ではその必要はないと判断している。 各パラメータのサンプリングは実施しているが、当初経過鵜していたデータ解析は今年度半ばに行う予定としており、データを統合した後の解析については今後の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までにNIRSセンサーの不具合や張替トラブルなく実施できていることと、症例サンプル数がやや伸び悩んでいることが経費を繰り越した主な要因と考えている。 なお当初予定していた唾液コルチゾールアッセイが翌年度繰り越しとなっており、これについても費用捻出の必要がある。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通りの備品購入により消費予定となっている。残金の多寡によって学会報告などによる費用計上も今後検討する。
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