近年、胚発生や神経での情報伝達など、宿主の生理機能におけるERVの役割に注目が集まっている。一方、同種内のERVの多様性についての解析は少ない。イエネコは約1万年前に家畜化されたものであるが、祖先であるリビアヤマネコに比して表現型は実に多様である。本研究課題は、ERVがイエネコの多様性を生む一因子となったのではないかと着想したものである。研究成果により、イエネコ系統間で異なるERV配列を同定し、その獲得時期および配列の変化を明らかにした。今後さらに研究を進めることにより、ERVがどのように宿主ゲノムの一部となり我々と共存するに至ったかを明らかにし、生物の誕生・進化過程を知ることが可能となる。
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