研究課題/領域番号 |
16K21130
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 祐 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定准教授 (90566027)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バイオイメージング / セラノスティクス / 分子プローブ / バイオマテリアル / MRI / 光音響イメージング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,腫瘍組織の可視化および治療を目的としてナノ粒子型新規光音響-磁気共鳴デュアルイメージング造影剤に対して抗腫瘍分子を導入し,集積率および治療効果を検討することである. 平成28年度に新規造影剤の合成および in vitro における機能評価を実施した.In vivo における効果発現には体内動態の検討およびさらなる向上が必要とされたことから,平成29年度は,血中半減期延長を含む腫瘍集積性の向上を目的として,表面修飾剤の検討を行った.表面修飾剤として使用しているゼラチン分子に対して種々の反応性官能基の導入および能動的標的能をもつ分子の導入を実施したところ,反応性官能基および標的分子の導入が確認された.体内動態および造影効果の向上にはいまだ改善の余地があり,現在新たな官能基導入および評価を実施している.今後は当初計画に従って抗腫瘍剤の選択,導入量の最適化を行い,種々の培養細胞,腫瘍サイズを有する担癌動物に適用可能か検討する.最終的には,どのような抗腫瘍剤をどの程度導入し,造影剤とともに投与する場合に腫瘍組織へ効果的に集積し,治療効果を最大限発揮することができるか,さらに広範囲の腫瘍組織に適用するためにどのような抗腫瘍剤の組み合わせ,投与条件等が必要か明らかにするとともに,従来の造影剤と比較してより小さな腫瘍の研究が可能で,さらに造影後に腫瘍のサイズ縮小効果も併せもつ,効果的な新規ナノ粒子の創製を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画と比べて体内動態および腫瘍集積性に関する検討に期間を要し,抗腫瘍剤の選択や種々の培養細胞を用いた検討までにさらなる検討が必要なため.今後はこれまでに報告されている造影剤との比較検討や研究室での実績を踏まえ,より効果的な検討方法を見出し,研究を加速する.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,抗腫瘍剤の選択,導入量の最適化を行い,培養細胞,担癌動物で効果を表す条件を明らかにし,種々の培養細胞,腫瘍サイズを有する担癌動物に適用可能か検討する.難治療性の膵臓がんは血管組織が乏しく,薬剤の到達も制限されていることが知られており,これらの組織に対してもゼラチンへの抗体の表面修飾などで到達が可能になればインパクトが大きいことから,これら疾患への適用を検討する.
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