研究課題/領域番号 |
16K21136
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
須永 恵美子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (00722365)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 南アジア / パキスタン / イスラーム / マウドゥーディー |
研究実績の概要 |
昨年度までの実績をもとに、マウドゥーディーの主題年表を作成に取り組んだ。主に参照したのは新聞記事である。また、彼の死後に出版された2巻本の回想録Tazkira-e Maududi(『マウドゥーディー伝』)は、支持者等によって編纂されたものであるものの、事実関係の誤認などが確認されたため、参照するに留めた。新たにマウドゥーディーの人生を一覧するものとして、彼とイスラーム党の活動を主軸に、マウドゥーディーの論文や著作、国内外での報道状況を年表に落としこんでいるところである。 また、東南アジアにおけるウルドゥー語の広がりと現状を調べるため、インドネシア・ジャカルタでの概況調査を行った。1980年代に流行した南アジア発の思想を残す翻訳本は、大学の図書館等には所蔵されていたものの、現在改訂・再販された様子はなく、すでに他の思想家らに関心が移っていることが確認された。ごく僅かではあるが、プサントレンにおいてマウドゥーディーの著作を読んでいる若い学生らにも面会ができ、意見の交換を行った。 日本中東学会の年次大会では、昨年度までの成果を発表し、資料の扱いの観点から批判的・建設的な意見を多数いただけた。さらに、マレーシア・クアラルンプールでは、東南アジアにおけるウルドゥー語書籍の出版状況について、翻訳と解釈書の普及状況を発表し、マレー語他現地言語を専門とする研究者からフィードバックをいただけた。 パキスタンのカラチから出版されている学術雑誌『テヘシール』の創刊号に、英文でウルドゥー語の聖典クルアーンの翻訳に関する論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パキスタン・カラチでの調査を行うことができた。新旧の研究所を周ることができ、新たな人脈を築くことができた。ただし、1週間と限られた時間ではあったため、資料収集に十分な時間を割くことができなかった。成果については、国内外で研究発表を行った。また、英文での論文も出版され、アウトプットが順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計画の3年目として、主題年表を和文のブックレットとして出版することを目指す。これまでの口頭発表を踏まえて明らかになった問題などを補正しつつ、編集作業を行う。 フィールド調査としては東南アジアと南アジアに渡航し、これまでの研究から不足が明らかになった論文や著作の収集を行う。
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