日本、韓国、シンガポールの国公立大学において、国際的に通用する大学資格が取得できる教育プログラムである国際バカロレアが大学入学者選抜・大学教育に受容、実施、浸透、発展される過程を分析し、今後のIB認証による入学者選抜と大学教育の有効な枠組みの構築を図るため、各大学の教職員や国際バカロレア修了生にインタビュー調査を実施した。国際バカロレア・ディプロマは、International Passportと呼ばれているが、国により国際バカロレア・ディプロマの活用方法は異なり、複雑かつ多様化しているということが明らかになった。特に日本や韓国の大学者入学者選抜における国際バカロレア・ディプロマの活用方法は類似しており、国内で国際バカロレアを修了した日本・韓国人学生よりも、海外で国際バカロレアを修了した日本・韓国人学生の方が受験しやすく、国内国際バカロレア修了生は、全国統一試験の受験を求める国内国立大学ではなく、国際バカロレアの最終試験のスコアを入学者選抜に活用している国内私立大学や海外大学に進学をする傾向にあった。しかしながら、近年日本において、この状況は変わりつつあり、多くの国立大学では入学者選抜における国際バカロレアの活用方法や大学教育の見直しがなされている。 これまで日本における国際バカロレアに関する研究が海外に発信されていなかったため、本研究の成果は国内外にて発信するように努めた。国際ジャーナルであるBoston CollegeのInternational Higher Educationジャーナルに論文を投稿、そして国内外(日本国際バカロレア教育学会・QS Asia Pacific Professional Leaders in Education Conference and Exhibition)にて学会発表をした。
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