研究課題
本年度は,8チャネルの有機薄膜アンプ回路を実装した生体信号増幅アレイシートを開発し,生体への貼付けによる信号増幅を実現した.開発した有機アンプアレイシートでは,有機トランジスタの入出力特性をSpiceモデルとして実装し,回路シミュレーションを通じて増幅率の最適化を行った.前年度に開発した,デザインルール及び論理チェック機能を用いて,シートの回路設計・マスク設計・プロセス開発を行い,生体信号を増幅出来る有機アンプシートを開発出来た.本年度は,当初の計画通り,無線計測モジュールから得た脳波信号を表示・解析するソフトウェアインタフェースを開発し,実際に有機アンプを通して増幅した脳波信号を数mVオーダーの振幅に増幅して表示・記録出来ることを示した.併せて,本年度は,医学部との連携を通じて,睡眠自動解析アルゴリズムを開発し,前頭葉の睡眠脳波データを用いて睡眠ステージを解析可能なプログラムを実装した.前頭葉の脳波データのみを用いるため,眼球運動や筋電信号を取得出来ないことから,レム睡眠を診断出来ない.レム睡眠の診断は,今後の課題とする.本研究では,最終的に生体適合性を有する電極シートと無線計測モジュールを組み合わせた脳波計測システムの完成を目標とした.計画通り,本年度までの成果において,統合を完了し,脳波信号を有機トランジスタアンプを用いて増幅し,無線計測モジュールを用いて計測を行い,ソフトウェア上で表示・解析する一連のシステムを完成させることが出来た.
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
IEICE Electron. Express
巻: 14 ページ: 1-12
10.1587/elex.14.20172003