社会権は、労働者を所得保障によって脱商品化することから個人の自己決定にもとづく就労・社会参加を支えるものへと転換したことが指摘されている。これに対し、本研究では自己決定・社会参加を社会権として保障するには、経済(生産と所有)および福祉供給の諸制度が人々の対等な地位・均等な力関係を保障するよう民主的な協働の原理にもとづいて統制される必要があることを示した。日本の自立支援政策では、地域レベルの参加と協働が促進されているものの、こうした取り組みの社会一般に対する位置付けについてさらなる検討が必要である。
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