研究課題
食道扁平上皮癌の発癌初期段階におけるマクロファージの意義を検討するため、ヒト食道正常扁平上皮細胞株Het-1Aとin vitroでマクロファージ様に分化させたヒト単球性白血病細胞株THP-1との間接共培養系を確立した。前年度は「単独培養のHet-1A」と「THP-1由来マクロファージと間接共培養したHet-1A」との間で施行したcDNAマイクロアレイ解析結果のうち、後者で高発現していたG-CSFについての研究を開始した。Het-1AおよびTHP-1由来マクロファージはともに間接共培養後にG-CSFの発現・分泌が亢進した。さらには、Het-1AはG-CSF受容体を発現しており、Het-1Aにrecombinant human G-CSF (rhG-CSF)を添加したところ、運動能の亢進とGSK-3α/βのリン酸化およびβ-catenin (Ser675)のリン酸化・核内移行を確認できた。今年度はこの実験系にβ-catenin阻害剤(MSAB)を加えてGSK-3α/βとβ-catenin (Ser675)のリン酸化が抑制される濃度を見出すことができた。以上を踏まえてMSABがrhG-CSFによって誘導されるHet-1Aの運動能亢進作用を抑制することができるかどうかを追加検討している。rhG-CSFをHet-1Aに添加した際の増殖能をMTS proliferation assayで検討したが、増殖能に対する影響は見いだせなかった。また、Het-1AとTHP-1由来マクロファージとの間接共培養時の培養上清(以下、共培養上清)を回収し、共培養上清を添加した状態でHet-1Aを1~2か月間長期培養した。形質転換の有無をcolony formation assayによる造腫瘍能にて評価したが、長期培養後のHet-1Aは通常培養条件のHet-1Aと比べて造腫瘍能の亢進は見られなかった。
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