食道扁平上皮癌の前癌病変内にはマクロファージ(Mφ)が浸潤している。発癌初期段階におけるMφの役割を解析するため、ヒト食道扁平上皮細胞株Het-1AとMφ様細胞との共培養系を確立した。単独培養後のHet-1Aと共培養後のHet-1Aとの間でcDNAマイクロアレイ解析を施行し、後者においてCSF3/G-CSFが高発現している事を見出した。リコンビナントCSF3/G-CSFをHet-1Aに添加すると運動能の亢進およびGSK-3α/βとβ-カテニンのリン酸化が確認された。以上からMφと食道上皮細胞との相互作用によるCSF3/G-CSFの発現・分泌亢進が食道の発癌初期段階に関与する可能性を見出した。
|