本研究は不明点の多い占領下都市空間の実態解明に着手する一歩として、当該期の神戸市における商業集積の生成・展開の特徴と連合国占領軍の関与、占領下日本における部隊配備とD.H.の分布と数的変容の特徴について、国内外史料の収集調査を基に分析・検討した。日米公文書からは、占領軍による"Kobe Base"の一部としての占領下神戸の位置づけ、隣接する阪神間を含む広域な範囲での移動や接収施設の利用、朝鮮戦争の前後の占領軍の組織体制の変化や地方自治体の交渉による接収解除や宿営機能の移動について明らかにした。聞き取り調査からは、子どもや青年の目から見た占領軍の振舞いや戦災復興期の都市の具体相を明らかにした。
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