研究課題/領域番号 |
16K21168
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
教育学
教科教育学
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研究機関 | 京都大学 (2017-2019) 奈良教育大学 (2016) |
研究代表者 |
広瀬 悠三 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (50739852)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 良心 / 寛容さ / カント / 信頼 / ボルノウ / ランゲフェルト / 友情 / 歓待 |
研究成果の概要 |
本研究は、良心と信頼という概念に着目し、宗派にとらわれない開かれた宗教的な道徳教育の内実と意義を明らかにした。(1)良心とは自分とは異なったもう一人の自分との対話において現出するが、良心への自覚を通して、自分の複数性を実感し、さらに他者の多様性へと開かれることで寛容さという道徳性を獲得するようになる。(2)また信頼はいままで教育学では主題化されてこなかったが、教師と子どもには非対称的な人間形成力としての信頼が両者を取り結ぶように生起するのであり、そこでは合理性を超えた存在への関わり、さらには水平的な信頼において身近な超越性に触れることができるようになる。
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自由記述の分野 |
教育学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
道徳が特別教科化され、道徳教育が改めて多面的に吟味されていているが、そこにおいて最も欠けていることの一つは、宗教と道徳教育の関係が不明確であるということである。本研究は、宗教とは単に宗派内の事柄だけでなく、様々な宗派にも通底し、一般的かつ現実的にも捉えることができる良心と信頼という問題が、宗教という超越的世界へと関わる重要な契機になっていることを明らかにした点で、道徳教育を新たな視点から補強することに貢献するものであると思われる。宗教を考慮に入れない道徳教育は、利益や成果追求の科目へと堕する危険性を孕んでおり、その危険性を回避するうえでも本研究は意味のある示唆を提供することができると思われる。
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