本研究では、有機無機複合ナノ構造による熱伝導率の制御を目的として、フェリチン超分子を用いたナノ粒子分散手法を確立した。これまでに、フェリチンにPEGを修飾することでナノ粒子の間隔を制御し、ナノ粒子を無機材料薄膜中へ分散させた構造を作製した。ナノ粒子は約20nmから50nm程度の間隔で無機材料中へ分散していることを透過型電子顕微鏡により確認した。本研究では、ナノ粒子に酸化鉄を用い、薄膜材料には非晶質SiO2を用いた。酸化鉄ナノ粒子のみをSiO2膜中へ分散させた場合は、熱伝導率がわずかに増加したが、フェリチン内包酸化鉄をSiO2膜中へ分散させた構造を形成した場合は、熱伝導率が低いタンパク質領域の影響により熱伝導率が低減することが明らかとなった。研究内容については熱電研究の国際学会(2018 International and European Conference on Thermoelectrics)にて報告をおこなった。
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