| 研究課題/領域番号 |
16K21174
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| 研究機関 | 鳥取大学 |
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研究代表者 |
河野 勝宣 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60640901)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 粘土鉱物 / ベントナイト / 変質 / 膨潤・透水特性 / 放射性廃棄物地下処分 |
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| 研究実績の概要 |
放射性廃棄物地下処分に関する研究は重要度が高いが，天然および人工バリア材や埋戻し材に含まれる粘土鉱物の種類や含有量，さらに，長期供用による粘土鉱物の変質については十分な検討がなされていない．特に，複雑な地質環境を有する我が国にとって，「粘土鉱物」に着目することは非常に重要である．
本研究は，粘土鉱物を含む岩質材料（天然バリアを想定）と，ベントナイトおよび粘土鉱物と珪砂混合材料（人工バリアを想定）の力学特性に及ぼす粘土鉱物の種類の影響について実験的に検討した．特に粘土鉱物を含む岩質材料では一軸圧縮強度について，粘土鉱物およびベントナイト系材料では膨潤圧・透水特性について検討した．
本年度は，粘土鉱物を多く含む軟岩のバリア材を想定して，粘土鉱物と石膏を様々な割合で混合した石膏－粘土混合供試体（人工軟岩）を作製した．作製した供試体を用いて，粘土鉱物の種類・含有量の違いに着目し，これらの違いによって，岩質材料の力学特性がどのように変化するのかについて，実験的検討を行い，以下の結果を得た．
(1) 粘土鉱物含有量の増加に伴う物理特性の変化の様相や一軸圧縮強度等の力学特性の低下の様相は，粘土鉱物の種類，含水量の違いによって大きく異なる．(2) 含水の影響による強度変化率から，粘土鉱物を含む供試体の一軸圧縮強度は，非粘土鉱物を含む供試体に比べて，含水の影響をより受けやすい．(3) 粘土鉱物を含む供試体の一軸圧縮強度は，含まれる粘土鉱物の層間にはたらく結合力の大小関係を反映しており，これは，粘土鉱物を含む岩質材料の一軸圧縮強度の違いが，粘土鉱物の構造の違い（シート電荷の組み合わせ）と関係があることを示唆するものであると考えられる．
以上の成果は，今後，粘土鉱物を含む地盤材料の力学特性評価をする際の基礎的資料として大いに貢献できる成果であると考える．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粘土鉱物を含む岩質材料の力学特性評価において，実地盤材料との比較や適用性等についての課題はあるものの，粘土鉱物の種類と含有量による強度低下の様相が含まれる粘土鉱物の構造の違いで説明できるという，当初の計画通りの成果を得ることができた．また，本年度後半からは，計画通り，粘土試料，ベントナイトおよび粘土鉱物と珪砂混合材料の膨潤圧・透水試験装置の作製を行った．さらに，1種の粘土鉱物のみから構成される供試体の膨潤特性および透水性と，ベントナイト系材料に対して，超長期供用による変質を想定して，粘土鉱物を様々な割合で混合した供試体を用いて，一次元膨潤圧試験および透水試験を実施し，ベントナイト系材料の膨潤特性および透水性に与える粘土鉱物混合率（変質）の影響について検討した．以上より，本研究は概ね順調に進展しているものと考える．
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度は，粘土鉱物を含む岩質材料の力学特性に関する研究について，引き続き，各種実験を行うとともに，粘土鉱物の結合力を把握するための各種分析を実施することで，粘土鉱物の種類・含有量の違いが岩質材料の力学特性に与える影響を定量的に明らかにする．また，作製した膨潤圧・透水試験装置を用いて，混合する粘土鉱物，供試体の密度，温度環境や使用する水等を変えて実験を行い，ベントナイト系材料の膨潤特性および透水性に与える粘土鉱物含有量（変質）の影響について検討する予定である．
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