研究課題/領域番号 |
16K21179
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
山田 健治 島根大学, 医学部, 助教 (70624930)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ベザフィブラート / 脂肪酸代謝異常症 / in vitro prove assay / iPS細胞 / グルタル酸血症2型 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は脂肪酸代謝異常症(FAOD)に対するベザフィブラート(BEZ)のin vivoでの有効性を評価する方法を開発することである。そのためには、現在の皮膚線維芽細胞を使ったin vitro prove (IVP) assayの精度を高めたり、iPS細胞由来の筋細胞や肝細胞を対象とした実験系を開発することが必要である。 H28年度は患者由来の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を作成し、心筋細胞や肝細胞への分化誘導に成功している。またiPS細胞由来の心筋細胞を用いて、現行のIVPアッセイで脂肪酸代謝能をある程度は評価できることを確認している。その際に、心筋細胞を対象とした場合、既存の(皮膚線維芽細胞を対象とする時の)培養条件、基質濃度では脂肪酸代謝能は評価しにくいことが分かった。 また、FAODの一つであるグルタル酸血症2型を対象に、重症度別にBEZの有効性をIVPアッセイを用いて検討し、重症型にはBEZが無効なこと、現行のIVPアッセイでは、重症型GA2に対するBEZの有効性を正確には評価しにくいことなどを明らかとした(Brain & Development, 2016)。 さらに、IVPアッセイに変わる脂肪酸代謝能評価方法として、海外では放射性同位元素を用いたFatty acid oxidation (FAO) fluxという方法が用いられているが、この方法を用いて、in vitroでのBEZの有効性を報告した(2016年10月、先天代謝異常学会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した通り、平成28年度はiPS細胞の分化誘導に成功し、さらに翌年度以降に予定していた、iPS細胞由来の組織細胞を対象とした脂肪酸代謝能評価まで行えている。また、IVPアッセイ法以外の脂肪酸代謝能評価方法の確立にも着手しており、この点においては想定以上に順調な進捗状況である。 一方で、IVPアッセイは本来アシルカルニチンを分析するが、その他の有効なバイオマーカーの検索や、細胞培養条件の見直しなど、平成28年度に予定していた実験は、まだ十分な検討が出来ていない。 上記を総合的に判断し、おおむね順調に伸展していると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、上記の通り十分な結果が得られていない、IVPアッセイにおける他の有効なバイオマーカーの検証や、細胞培養条件の見直しなどの検討を進める。 また、上記は皮膚線維芽細胞細胞における検討が主体となるが、研究の進捗状況によっては、iPS細胞由来の組織細胞を対象としたバイオマーカーや細胞培養条件などについても着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、計上していた研究補助員の人件費であるが、結果的に補助員を雇わずに研究が実施できたが、旅費や論文校正費が当初の計画よりも多額となり、それに充てる形となった。その差額が結果的に次年度使用額となってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
2587円と大きな金額ではないため、細胞培養関連の消耗品の購入に充てる予定である。
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