平成28年度は申請時の計画通り、「軟骨内骨化におけるRARγの転写アクティベーターとしての機能解析」を遂行した。具体的には、①初代培養のマウス軟骨細胞を用いたRARγアゴニスト添加による影響の解析を遺伝子発現の評価を中心に行い結果を得た。②2週齢マウスにRARγアゴニストを投与し、その成長に対する影響の評価を行った。 ①においては、RARγアゴニストの添加により48時間後には軟骨細胞の形態に変化が認められた。これは他のレチノイン酸受容体に対するRARαおよびRARβアゴニストの添加では見られない変化であり、軟骨細胞においてはRARγがレチノイン酸シグナルの主要な役割を担っていることが示唆された。また、遺伝子発現の評価においてもRARγアゴニストによる特異的な変化が確認され、これによりRARγは軟骨細胞の成熟を促進させることが示された。 ②においては、RARγアゴニスト投与によりマウスの成長が特異的に阻害されることが明らかとなった。これは①と同様に、他の受容体アゴニストの投与では見られない変化であり、培養軟骨細胞で確認された変化が実際に生体でも生じている事を示唆する結果であった。 以上の結果は2年間に渡る本研究計画において基盤となる結果であり、且つこれまでに報告されていない新たな知見である。これらの結果を基に申請計画の通り、更なる解析が必要であるが、現在までのところ期待された通りに成果を得ていると断言できる結果であった。
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