研究課題
若手研究(B)
ラット眼窩下神経・総腓骨神経を結紮した神経障害性疼痛を生じさせたラットモデルを作製し、摘出した三叉神経節・後根神経節培養細胞にBoNTを直接投与することで、三叉神経系と脊髄神経系におけるBoNTの機能発現部位を調べた。その結果、三叉神経節細胞において神経終末に存在する膜タンパク質であるSNAP-25を切断する可能性が示唆された。以上の結果から、BoNTが三叉神経節において機能を発現して神経障害性疼痛の抑制に関与している可能性が示唆された。
神経解剖
疼痛という感覚入力における情報伝達機構の解明やその治療法の開発は喫緊の課題である。本申請研究は、化学シナプスによる情報伝達を抑制する BoNTの効果を用いて、神経障害性疼痛の発症機構ならびに感覚入力における1次求心性ニューロンでの情報伝達機構の解明が目的とした。BoNTの機能発現部位が三叉神経系に存在する可能性が示唆されたことから、頭頸部の痛みにおけるBoNTの疼痛抑制発現メカニズムの解明、またその応用につながることから社会的意義は大きいと考える。