研究課題/領域番号 |
16K21192
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石飛 博之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (30772074)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 運動 / カルノシン酸 / Exosome |
研究実績の概要 |
初年度は、課題1. 老化促進マウスにおける変形性関節症(OA)様変化を継時的観察、課題2.老化促進マウスのOA変化に対する運動・栄養素の効果について解析を行った。 課題1.これまで、6ケ月齢の老化促進マウスはコントロールマウスと比較し、軟骨の変性が起こっていることが明らかとなっていた。しかし、何ヶ月齢から変性が起き始めているのか不明であったため、1ヶ月齢から継時的にサンプリングを行い、CTや各種染色法により軟骨変性の評価を行った。その結果、コントロールと比較し、老化促進マウスはXヶ月例あたりから軟骨変性が起き始めていることが示唆された。課題2.老化促進マウスのOA様変化に対し、まずは栄養素の効果から検討を試みた。我々は、これまでに抗酸化酵素ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の抑制因子であるBach1欠損マウスを用いた解析から、野生型に比べHO-1が高発現する Bach1欠損マウスはOA様変化が抑制されることを報告している(Takada T et al., Arthritis Res Ther 2015)。このことから、抗酸化酵素HO-1を高めることが報告されていたハーブなどに含まれるカルノシン酸に着目し検討を行った。In-vitro実験系に置いて、SH-SY5Y細胞を用い、飢餓状態、酸化ストレスに対する保護効果を検討した。その結果、カルノシン酸はどちらのストレス下においても保護効果を示した(Shibata et al.,Int J Food Sci Nutr. 2016)。現在、カルノシンを投与した老化促進マウスの関節、他の組織を含めた老化の程度についても解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、老化促進マウスの関節などの継時的変化、また、それに対するカルノシン酸の効果について計画通りに進行している。運動による影響、およびExosomeの変化については若干解析が遅れているが、全体的に考えると計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた患者の臨床サンプルからのExosomeに関しては、臨床サンプルによって粘性などの問題により、Exosomeの精製が困難なことから、患者由来細胞及び培養上清を中心として解析を進める。その他の研究計画には特に変更なく、計画を遂行していく。次年度は、申請者の研究機関の移動に伴い、不足する機器の購入等については考慮する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画どおり施行したが110,084円の繰越金が生じた。理由としては、年度変更に伴う当事者の研究機関の移動があげられる。当事者が新たな研究機関に移動することで、不足する機器が生じる。そのため、使用予定額を使い切るよりは、繰越しを行い、不足する機器の購入費用に当てることが、より研究を推進する上で有効な手段であると考えられたため、この度は繰越しを行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
研究機関の移動に伴い、研究計画を遂行する上で不足する機器の購入に使用する予定である。
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