研究課題
我々は、これまでに抗酸化酵素ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の活性化による、OA抑制効果を報告した(Takada T et al., Arthritis Res Ther 2015)。そこで本年度は、HO-1の活性化に関する報告がある、カルノシン酸(CA)によるOAの予防効果とそのメカニズムに関して研究を進めた。ヒト関節軟骨細胞にIL-1βとCAを同時に添加し、細胞におけるOA関連遺伝子等の発現を検討した結果、IL-1β添加により軟骨分解酵素であるAdamts-5やMMP-13の発現は亢進されたが、CAを同時に添加した場合、それらの発現は抑制された。マウスより関節軟骨組織を採取し、同様の処理を行い、軟骨基質であるグルコサミノグリカン(GAG)の 放出を定量した結果、CA存在下ではGAGの放出が抑制された。また、これらのメカニズムを明らかにするためにmicroRNA(miR)を解析した結果、miR-140がHO-1の抑制因子であるBach1を標的遺伝子としていることが明らかとなった。以上のことから、IL-1β誘導性のOA様状況下において、CAは軟骨の恒常性維持に重要なmiR-140を介してBach1の機能を抑制すること、そしてその結果、HO-1の活性化を誘導して関節を構成する細胞を保護するという新たな機序を明らかにした。今後は、OAマウスモデルに対しCA投与を行い、CAがサプリメントとしての効果を検討する予定である。その評価としてはmicroRNAを含むエクソソームに注目し、OA予防についてさらに研究を進めていきたい。
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Alternative therapies in health and medicine
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Molecular Medicine: Current Aspects
巻: 1 ページ: 1(1):003