研究課題
高齢者や有病者などの易感染性宿主は、誤嚥性肺炎の発症リスクが高く重症化しやすい。さらに口腔環境が不衛生になりやすく、日和見感染菌の検出率も高い。本研究では、日和見感染に関わる緑膿菌と口腔細菌(Oral Bacteria、以下、OBと略す)との共培養により、緑膿菌の病原因子の一つである、ピオシアニン産生量が有意に上昇することを見出した。ピオシアニンは、誤嚥性肺炎の病態確立に極めて重要な病原因子であることから、「不衛生な口腔環境下においてOBがピオシアニン産生を促進させ、誤嚥性肺炎の重篤化をもたらす」可能性が考えられる。本年度は、Streptococcus mutansなどの口腔レンサ球菌、Porphyromonas gingivalis, Fusobacterum nucleatumなどの歯周病原因菌、日和見感染の原因菌となる、Candida albicans, Staphylococcus aureusなどを含むOBとの共培養系の条件を確立した。さらに、口腔レンサ球菌、歯周病原性菌、日和見感染原因菌を含むOBと緑膿菌との相互作用に着目し、その直接的な接触がピオシアニン産生促進に関与するかどうかをセルカルチャー・インサートを用いた非接触培養系と比較し、これを現在解析中である。今後は、OBの情報伝達物質や分泌蛋白を含む培養上清を緑膿菌に作用させて、非接触系でのピオシアニン産生促進効果について解析し、その因子の探索を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、歯周病原因菌を含むOBとの共培養系の条件を確立することを予定しており、当初の予定どおり、進展させることができた。また、いくつかの菌株と緑膿菌の共培養により、ピオシアニンが有意に産生されることも確認できた。
本年度は、いくつかの菌株と緑膿菌の共培養により、ピオシアニンが有意に産生されることが確認できたので、この機序について詳細に検討していく。互いの細菌の直接的な接触がピオシアニン産生促進に関与するかどうか、これを現在解析中である。今後は、OBの情報伝達物質や分泌蛋白を含む培養上清を緑膿菌に作用させて、非接触系でのピオシアニン産生促進効果について解析し、その因子の探索を行う予定である。
本年度実施予定であった研究計画進行および実験進行の変更により、次年度使用額が生じたが、来年度以降で使用する予定である。
次年度は試薬類・測定キット・ガラス・プラスチック製品等の購入が必要不可欠であり、消耗品費として計上している。また、本研究において最新の動向を知る必要性及び研究成果の積極的な公表のため学会出張費を国内旅費として計上している。なお、交通費、宿泊費、日当は学内の旅費規程に従って算出している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (5件)
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