研究課題/領域番号 |
16K21198
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
藤原 奈津美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50596913)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔細菌 / 緑膿菌 / ピオシアニン / 誤嚥性肺炎 |
研究実績の概要 |
高齢者や有病者などの易感染性宿主は、口腔細菌による誤嚥性肺炎の発症リスクが高く重症化しやすい。さらに口腔環境が不衛生になりやすく、日和見感染菌の検出率も高い。 緑膿菌の病原因子の一つである、ピオシアニンは、誤嚥性肺炎の病態確立に極めて重要な病原因子であることから、「不衛生な口腔環境下において口腔細菌がピオシアニン産生を促進させ、誤嚥性肺炎の重篤化をもたらす」可能性が考えられる。 本年度は、口腔細菌の情報伝達物質や分泌蛋白を含む培養上清を緑膿菌に作用させて、非接触系でのピオシアニン産生促進効果について解析した。Streptococcus mutansなどの口腔レンサ球菌、Porphyromonas gingivalis, Fusobacterum nucleatumなどの歯周病原因菌、日和見感染の原因菌となる、Candida albicans, Staphylococcus aureusなどの口腔細菌の培養上清を添加した条件下で緑膿菌を培養し、ピオシアニンの産生量を測定した。その結果、F. nucleatumの培養上清を添加するとピオシアニン産生量が増加することを確認した。ピオシアニンとは異なる病原因子のピオベルジンにおいても同様の条件下で産生量を検討したが、産生促進の影響は示されなかった。F. nucleatumに着目し、F. nucleatum subspeciesや臨床分離株を用いてピオシアニン産生量の違いを確認した。 ピオシアニン産生促進効果を発揮する物質をスクリーニングするために、F. nucleatum培養上清を熱処理しピオシアニン産生量を測定したところ、産生量が減少した。よって、ピオシアニン産生を促進する物質は、F. nucleatumの代謝産物中の、熱に対して不安定なタンパクである可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は口腔細菌の情報伝達物質や分泌蛋白を含む培養上清を緑膿菌に作用させて、非接触系でのピオシアニン産生促進効果について解析することを予定しており、当初の予定通り、進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、Fusobacterium nucleatumの分泌物が、緑膿菌から産生されるピオシアニンの産生に影響を与える可能性が示された。今後は、F. nucleatumに着目し、ピオシアニン産生増加の因子を種々の方法で探索する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であった研究計画進行および実験進行の変更により、次年度使用額が生じたが、来年度以降で使用する予定である。 次年度は試薬類・測定キット・ガラス・プラスチック製品等の購入が必要不可欠であり、消耗品費として計上している。また、本研究において最新の動向を知る必要性および研究成果の積極的な公表のため学会出張費を国内・国外旅費として計上している。なお、交通費、宿泊費、日当は学内の旅費規程に従って算出している。
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