研究実績の概要 |
肺非小細胞肺癌の進行期、非切除症例の臨床病理学的および予後に関するデータファイルを確立し、デジタル画像解析システム(WinROOF Ver6, Mitani Corporation)を用いて、核径(長径と短径)や核面積、核/細胞質比などの癌細胞核の形態的特徴を測定した。癌細胞核の形態的特徴の中で、特に核径が大きいことが独立した予後不良因子となり、小リンパ球を用いて肉眼的に判定した核径とも相関することを解明し、核径に基づく核グレードの臨床的有用性を示した。また、肺癌の中でも組織型や性別により予後などがことなるため、肺腺癌あるいは扁平上皮癌のみのグループや性別ごとに個別に解析し、核グレードが腺癌患者の特に男性において予後因子となることを明らかにした。さらに、画像解析システムを用いた解析により、男性の喫煙者で特に癌細胞がEGFRの遺伝子変異を持たない症例において、核径が優位に大きくなることを証明した。これらの結果は本年度の日本病理学会で発表するとともに、Nuclear grade based on transbronchial cytology is an independent prognostic factor in patients with advanced, unresectable non-small cell lung cancerという題名で、英文雑誌Cancer Cytopathologyに掲載した。
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