研究課題/領域番号 |
16K21206
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山本 直史 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (40552386)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 体力 / 就労 / 社会的活動 / 高齢者 / 身体活動 |
研究実績の概要 |
高齢者が就労を阻む理由としては体力の低下が推察され、調査結果においても、高齢者における仕事の主な阻害要因は体力の低下であることが示唆されている。しかしながら、これらの調査では、非就労者を対象に、選択肢から回答させた「仕事をしない理由」の分布状況を示しているのみであり、体力と就労の中止との直接的な関連はこれまでに検討がなされていない。そのため、高齢者において体力が就労の中止に本当に関連しているのか、また、どのような体力要素が関連するのかは不明なままである。このようなことから、平成28年度は、高齢者における就労中止に関連する体力要素を明らかにすることを目的として、研究を遂行した。 M市シルバー人材センターの全会員(2,205名)に対して、郵送法による質問紙調査を実施し、737 名からの有効回答が得られた。就労の中止を「体力的な不安から1年以上就労を行っていないこと」と定義し、自己評価式の体力(筋力、持久力、調整力、柔軟性)との関連について交絡因子を調整したロジスティック回帰分析によって検討した。その結果、持久力、および筋力と就労の中止との間に有意な関連が認められ、筋力に関しては他の体力要素を調整しても就労の中止との有意な関連が認められた。このようなことから、高齢者における就労の中止には持久力と特に筋力が関連する可能性が示唆された。また、これらの対象者から有為抽出した就労者と就労中止者に対して持久力(6分間歩行)と筋力(握力、膝伸展力)を実測し比較したところ、就労中止者に有意な低値が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平成28年度中に就労の中止と関連する体力要素を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
就労の中止と特に関連する筋力に関して、就労者、就労中止者ともに人数を増やして、客観的な方法を用いて測定する。得られた結果から、就労の中止に関連する具体的な体力水準を提示することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
質の高いデータセットを得るために、当初は計画をしていなかったが、質問紙のデータ整理等を専門業者に依頼した。このように予算執行計画の一部に変更が生じたことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は大人数の体力の実測を行うことから、測定員の謝金支払いが予定よりオーバーした場合に使用する。
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