一酸化炭素による間歇型一酸化炭素中毒の病態解明のため、まず6週齢のWistarラットに対して我々の先行研究と同様に意識消失を起こすまで一酸化炭素の濃度1000ppmを40分、3000ppmを20分曝露させた。意識消失しなかった場合、更に10000ppmを3l/minの流量で意識消失を起こすまで一酸化炭素に曝露させた。またWistarラットをルームエアのみでチャンバーに置いておいたものをコントロールとした。本研究では、低酸素脳症の影響を除外し、より一酸化炭素の影響を調べるため、空気に上記一酸化炭素を混合し、曝露中酸素が20%を保つようにモニタリングを行いながら曝露した。 また、間歇型一酸化炭素中毒のモデルができているか調べる方法として、我々の先行研究と同様に、一酸化炭素を曝露したラットとコントロールのラットには曝露前日に明暗箱を用いた受動回避試験のテストセッションを行っておき、以降曝露3日、1週間後、2週間後、3週間後の計3週間行動解析を行った。結果3週間認知機能低下を受動回避試験により確認し、一酸化炭素曝露群では有意に秒数の低下を認め、間歇型一酸化炭素中毒モデルラットを作成した。 免疫組織化学的染色では、一酸化炭素曝露群の特に認知機能障害の強い群で、マイクログリアの形態異常及び細胞数が減少傾向にあり、またSOX2陽性神経細胞の細胞数も減少傾向にあること、およびアストロサイトの細胞数が増加傾向にあることを認めた。 更に海馬組織を単細胞懸濁液に分散し、セルソーターで分離し・定量的に解析したところ、一酸化炭素曝露群で有意にマイクログリアの減少を認めた。 以上より、免疫組織学的解析、及びフローサイトメトリー解析により間歇型一酸化炭素中毒にグリア細胞の関与が示唆された。
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