研究課題
抗ヌクレオカプシド蛋白質(NP)抗体を利用したインフルエンザウイルス感染防御およびそのメカニズムの解明を目的として本研究を実施した。ヒト由来抗NPモノクローナル抗体発現トランスジェニックマウスに致死的感染量のH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスおよびH1N1亜型インフルエンザウイルスを接種した結果、いずれのウイルス株に対しても非常に高い生存率を示した。次に、免疫沈降法および蛍光抗体法を用いて、この高い感染防御効果を示す抗NP抗体のエピトープも同定した。また、ウイルス中和試験およびトランスジェニックマウス胎児線維芽細胞を用いたウイルス感染試験を実施し、本研究で使用した抗NPモノクローナル抗体は、感染中和能を示さない抗体(非感染中和抗体)であることを確認した。非感染中和抗体が関わる主な感染防御メカニズムとして抗体依存性細胞障害(ADCC)および補体依存性細胞障害(CDC)が考えられる。そこで、これら細胞障害活性に重要とされるアミノ酸を置換した変異型抗NP抗体発現プラスミドを作製した。細胞内において、作製したプラスミドからNP抗原との結合活性を有する変異型抗NPモノクローナル抗体が良好に発現する事を確認した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り進捗しているため。
これまでに作製した変異型抗NPモノクローナル抗体発現トランスジェニックマウスを作製し、複数のマウス系統を樹立する。系統化されたマウスを用いて、ウイルス感染実験等を実施し、本研究で用いた抗NPモノクローナル抗体の感染防御メカニズムにおけるADCCおよびCDCの関わりを明らかにする。
マウス飼育管理費用(その他)の支出が予定より少なかった。平成29年度は予定していた学会に参加しなかったため、旅費を使用しなかった。
今年度はマウスを使用する実験を計画しているため、昨年度繰り越したマウス飼育管理費用を使用する。また、平成29年度の日本獣医学会への参加旅費に使用する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of General Virology
巻: 97 ページ: 2104-2116
10.1099/jgv.0.000518