べーチェット病は、口腔粘膜や外陰部の潰瘍および皮膚やぶどう膜の炎症を主症状とする全身性の炎症性疾患である。全身性の疾患でありながら特定の臓器に症 状が現れる傾向が強く、特殊な病態を示す。ぶどう膜炎による失明や度重なる炎症症状は患者のQuality of life(QOL)を著しく低下させることから、新規治療法 は社会的にも要求性が高い。免疫応答としてはインターフェロン(IFN) を中心としたTh1型と考えられていたが、自己免疫疾患に深く関与するTh17がベーチェッ ト病の病態に関与することが明らかになりつつある。ベーチェット病について、これまでに数多くの遺伝子関連解析が行われ、ヒト主要組織適合遺伝子複合体の HLA-B*51、HLA-A*26やインターロイキンのIL-10、IL23R-IL12RB2への感受性が報告されている。加えて、HLA領域のSNP関連解析により、新たにTRIM39Rに感受性 を見出した。
昨年度までに、分泌型アルカリホスファターゼを連結したエピソーマルベクター(NFkB-SEAPおよびIRF-SEAP) を培養細胞に導入し、レポーター遺伝子恒常発現株を樹立し、IRFおよびNF-kB分泌量を測定するレポーターアッセイを樹立している。 また、TRIM39R、TRIM39およびRPP21を過剰発現すると、TRIM39RのみかがIFNを惹起することも明らかにした。今年度は、このアッセイ系を用いて、長崎大学が保有する海洋微生物ライブラリーより、IRFおよびNF-kB分泌量を変動させる小分子の同定を行った。
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